BOSS OD-3 OverDrive 解析

2021年12月31日 カテゴリー:修理・改造・解析



09_279_1od3P.jpg
ジャンクで手に入れたBOSS OD-3(1998年製)ですが、残念ながら(?)ポットにガリがある程度で、問題なく音が出ました。基板を見てみると、出回っている回路図と違う部分が見受けられたので、トレースしてみることにしました。KiCadとLTspiceの回路図データはGitHubにあります。

▽基板画像
09_279_2od3B.jpg
部品面から見た画像です。わざわざ部品の向きがそろうようにレイアウトされています。ツェナーダイオードは2つとも5.6Bという表記で、発売時期が近いTR-2と同じMTZ5.6Bと判断しました。他の汎用ダイオードもTR-2と同じと思われます。

▽回路図
09_279_3boss_od3_schematic.png
出回っている回路図との主な違いは、Q11~Q15あたりが低い電圧(実測4.6V)で動作させてあるというところです。このページの記載ではさらに低い電圧(4.1V)でオペアンプはNJM4558LDとなっており、おそらく仕様変更が行われたと考えられます。

▽シミュレーション
それぞれのブロック毎の周波数特性を貼り付けておきます。
09_279_4od3Sa.png

09_279_5od3Sb.png

09_279_6od3Sc.png

09_279_7od3Sd.png

09_279_8od3Se.png

↓は上記全て通してのシミュレーションです(DRIVE50%、TONE50%)。
09_279_9od3Sf.png
歪ませる前段階で500Hzあたりがカットしてあり、それが最終的にも表れています。この部分が音色を特徴づけるものとなっているのかもしれません。

※2SK184は2SK117のパッケージ違いのようです。2SK117と2SA1015のSpiceモデルはCQ出版社オンライン・サポート・サイトの「~モデルをLTSpiceに追加する」からダウンロードできます(会員登録が必要)。